手を取られて、指先に明石くんの唇がふれる。
瞬間、ボンってなにか爆発した。

「おまえ!萌花に変なことすんな!」

「なに?羨ましいの?」

怒ってる葵ちゃんをからかうように、私の手の甲に、指先に、手首に、明石くんは唇を落とし続ける。

「やめろよな!萌花も黙ってないで!」

「……」

身体中が熱くて、シューシューと湯気が出てる気がする。
黙ってる私に、葵ちゃんははぁーっと大きくため息をついた。

「……明石に萌花を盗られるの、ムカつく」

「葵ちゃん?」

俯いた葵ちゃんは、なぜかちょっと泣きそうだった。

「わかってるけど。
でも、萌花を盗られるのはムカつく」

「葵ちゃん、いじけないで—。
葵ちゃんはずーっと私の親友だよ」