お兄ちゃんに背中を預けてクッキーを食べながら、このあいだ買った本を読む。

確かに、お兄ちゃんは私にべったりだけど、私もお兄ちゃんにべったりだと思う。

ちっちゃいときは
「大きくなったらお兄ちゃんと結婚する」
とか云ってたらしい。

さすがに、大きくなるとそれはないけど。

でも、お兄ちゃんの傍は安心できる。

「萌花ー、明石とは最近どうなんだ?
このあいだも一緒だったみたいだけど」

お兄ちゃんの言葉に背中をびくりと震わせて、反応してしまう。

「ど、どうって……?」

「お兄ちゃん、やっぱり一度、明石くんとよーくお話しした方がいいかなー?」

くつくつと楽しそうに笑ってるお兄ちゃんが怖い。
黙ってしまった私に、お兄ちゃんはなんでもなかったかのように笑うと、あたまをぽんぽんした。