後ろから回ってきた杉本先生の手が肩を滑り胸まで落ちて、私をぎゅっと抱きしめる。

「無理、してないか?
ここのとこずっと、顔色が悪い」

「……大丈夫です」

確かに、ちょっと無理してるかも。

椛島先生がいるってだけで、朝、学校に行こうとすると気分が悪くなる。
お兄ちゃんはいつも休むことを勧めるけど、ずっと逃げてられるわけじゃないし。

それに、眠ると悪夢をみるから眠れない。
目が覚めると覚えてないけど、とにかく怖い夢。
だからこのところ、島津先生の処方してくれた薬が手放せない。

「嘘付け。
前よりずっと痩せてる。
ちゃんとメシ、食ってるのか」

「食べて、ます」

「嘘ばっかりだな、おまえ。
俺はな、宮野、おまえが心配なんだ」

なぜか泣きそうな杉本先生の声。
気付けば私を抱きしめる先生の手は、かたかたと小刻みに震えてた。