お兄ちゃんの顔が苦しそうに歪む。

「思い出さなくていいのかな」

「おまえが思い出したくないことは、思い出さなくていいんだ」

「……うん」

甘やかされてると思う。
この忘れてる記憶がある限り、私がお兄ちゃんの腕の中から出られないことも理解してる。

でも、思い出したくない……。