いくつもいくつも場面があたまの中を過ぎっては消える。
目の前がちかちして、身体ががたがたと震える。

あれは、思い出しちゃいけないこと。
忘れてないといけないこと。

思い出しそうな身体に、必死であたまでブレーキをかける。
そのせいか、あたまがずきずきと痛み出す。

苦しい。
息、できない。

恐怖でぎゅっと自分の身体を抱く。
酸素を求めて必死で呼吸すると、反対に苦しくなっていく。

怖い。
苦しい。
助けて、お兄ちゃん!
 
目を開けたら泣きそうな杉本先生の顔が見えた。

「大丈夫か、宮野」

「せん、せい……?」

起きあがろうとすると、そっと手を貸してくれた。

「授業中、倒れたんだ。
覚えてないか?」