「あのケーキ、ね。
杉本が持って行ってくれって、預かってきた。
杉本、萌花が倒れたとき、めちゃくちゃ取り乱してたんだよ」

「そうなんだ」

「今日もすごい、心配してた」

そういえば、前も云ってた。
私になにかあったら心配で仕事が手につかなくなっちゃう、って。
あのときは冗談だって思ってた。

……でも。
ほんとに冗談だったのかな。

しかし、どうして杉本先生はそんなに私のことが心配なんだろ?
いつも私のことをいいようにからかってくるけど、どこか一本、線引きして距離をとってる気がする。
なのに私のこと、よく見てて。
先生にとって、私はなんなんだろ?

「萌花、どうかした?」

「ううん、なんでもない。
明日は学校行って、杉本先生安心させてあげないとね」

「杉本なんて無視してていいよー」

帰る葵ちゃんを笑顔で見送る。

……明日は。
ちゃんと学校に行こう。