「うん。
そのとき話す」

「わかった」

明石くんが笑顔で頷いて、なんとなくもう気づかれてる気がした。

眠たい、校長先生の話の苦行を終え、一学期、急な家の都合で辞めた田中先生の、後任の先生の紹介。

……田中先生は例の倉庫の、鍵の管理をしていて、もしかしてその関係じゃないのかな、とか思うのは私の勘ぐりすぎなのかな。

その先生が目に入ってきた途端、心臓がばくばくと早く鼓動し始めた。
なぜか身体が震える。
息が、苦しい。

「今学期よりこちらの学校でお世話になることになりました、椛島と申します」

息苦しくて一生懸命息をするんだけど、すればするほど苦しくなっていく。
じんじんと痺れる指先。
遠くなっていく声。
目の前が真っ暗になり——。