二学期。

自分の持ってる感情がやっと恋愛感情だと理解した私は、明石くんに返事をするんだと決めたせいか、寝不足の朝を迎えた。

「眠い……」

「萌花、徹夜で課題……なわけないよね。
私じゃないんだし」

前日の夏休み最終日、葵ちゃんは涙目で課題を抱えてうちにきた。
泣きながら最終日に課題をやるのが、葵ちゃんの毎年だ。

「いつも云ってるけど、もっと早くからすればいいんだよ」

「でも、終わったからいいもん!」

「なんの話?」

ぼろぼろの葵ちゃんを励ましながら講堂に向かう途中、明石くんに会った。
夏祭り以来、だ。

「えっ、あっ、課題の話だよ」

自覚したせいか、明石くんの顔がまともに見れない。

「ふーん。
大塚はため込んで、ぎりぎりで宮野に泣きつきそうだね」