「そもそもあれだろ?
萌花が倉庫に閉じこめられた原因を作った張本人。
なのによく、萌花に近づけるよな」

「……明石くんの悪口云わないで」

明石くんを莫迦にするようなお兄ちゃんの発言に腹が立った。
だいたい、あれは明石くんが悪いんじゃない。
それに、明石くんはあのあと、私に悪いと思って距離をとってたくらいなのに。

「明石くんは悪くない。
明石くんは私のこと、考えてくれてた。
それに今日は、私が明石くんとふたりでいたいから、一緒にいただけだもん」

「萌花?」

怒ってる私に、怪訝そうにお兄ちゃんが顔をのぞき込む。
なんかそういうのにますます腹が立つ。

「明石くんのこと、悪く云うお兄ちゃんなんてだいっきらい!!」

自分の部屋のドアをバタン!と乱暴に閉める。

お兄ちゃんなんてだいっきらい。
なんにもわかってないくせに。
明石くんはお兄ちゃんが思ってるような人と全然違うんだから。
私が、……私が好きな人のこと、悪く云わないで!