「俺も悪かった。
けど、おまえがあんまりきれいに育つから、心配も増えるんだ。
ちょっとは理解しろ」

「う、うん」

いまお兄ちゃん、さらっときれいとか云った?
なんか、は、恥ずかしい。

「十分ほど待て。
あ、これ借りるぞ」

私の髪飾りを器用に外すと、お兄ちゃんは自分の部屋に戻っていった。

……はぁーっ。

ソファーに座ってため息。

お兄ちゃんが心配なのは理解してる。
もう二度と、私がいきなりいなくなるなんてことがあっちゃいけないって。
けど、お兄ちゃんの腕の中で守られていくなんて嫌。
私は、私の足でちゃんと歩きたい。

ピコン、携帯の通知音に画面を見てみると、明石くんからメッセージ。

“僕もクラスの奴と一緒に祭りに行くよ。
向こうで会えるといいね”
 
結局、行くことにしたんだ。