葵ちゃん、恨むよ?
お兄ちゃんに報告するなんて。
でも、確かに、あんなことがあると……困る。

「せっかく友達が誘ってくれたのに。
残念、だな。
いままでこんなことなかったから、すごく嬉しかったのに」

あーあ。
ほんと残念。
夏祭り、行きたかったな。
けど、お兄ちゃんの心配もわかるし。
あんまりわがままは云えない。

「あーあ。
夏祭りとか、行ってみたかったな。
花火も見てみたかったな」

「萌花?」

「高校生になったから行けるかと思ったのに。
私が夏祭りに行けるようになるの、いつだろ?
このまま一生行けなかったら悲しいな」

「……はぁーっ、わかった。
行っていい。
けど、一つ条件がある」

急にため息をついたお兄ちゃんが苦笑いで私の顔を見る。