「宮野、可愛いから食べちゃいたくなる」

はむ、そっと唇が私の耳を喰む。
暴走する心臓。
苦しくて、胸が、痛い。

「ほんと可愛いな、宮野は」

耳の形を確かめるようになぞる指に、背筋がぞくぞくする。
くすくすと耳の中に響く、甘く低い声。

「でも、待つって決めたんだもんね」

ちゅっ、最後に耳元に口付けを落とすと、やっと明石くんは離れてくれた。
視界に移るのは、自分の真っ赤になっている手。

「あれ?
宮野、大丈夫?
おーい、宮野ー?」

目の前をひらひらと動く明石くんの手を、ただ呆然と見ていた。