「おにーちゃーん。
ジュース持ってきてあげたよー」

ばんっ、突然開いたドアに目を開けると、慌てて離れる明石くんが見えた。

「あ、ありがとな」

「どーいたしましてー」

妹さんの手からお盆をぶんどると、しっしと手を振る明石くん。

「えー、私も彼女……になる人さんとお話ししたいー」

「いいから出てけ。
勉強の邪魔」

「えー」

部屋の外まで妹さんを押し出すと、そのまま明石くんは乱暴にドアを閉めた。

「ごめんね?
ほんとうるさい妹で。
……じゃ、始めようか」

「……うん」

まだ早い、心臓の鼓動に気づかないふりして勉強を始める。