ちゃんとお母さんから、なにか買って行きなさいって云われてたし。
それに、杉本先生の奢りだったりするし。

「部屋、行こうか。
ここだと梨菜がうるさくて勉強できないから」

「うるさくないもーん」

「はいはい」

明石くんと妹さんのやりとりに笑いが漏れる。
なんか微笑ましい、っていうか。
うちはお兄ちゃんが私べったり、だもんなー。

「ごめんね、妹、うるさくて」

明石くんの部屋。

……初めてあがる、男の子の部屋。

汚いお兄ちゃんの部屋と違って、綺麗に片付いてる。
本棚には英語の本とか並んでるし。
知的な明石くんっぽい、っていうか。

「ううん、ぜんぜん。
可愛いね、妹さん」

笑顔で返すと、なぜが明石くんはすぅーっと視線を逸らした。