「あ、あの、彼女じゃなくて、その、あの」

「そうだぞ、梨菜。
まだ彼女じゃなくて、もうすぐそうなる人」

「えー、前もそう云ってたよー。
まだ彼女じゃないのー?」

……ああ。
確かに、あの雨の日。
明石くんは妹さんにそう云っていた。
あれからすでに二ヶ月以上たっている。

「いろいろあるんだよ、いろいろ」

苦笑いの明石くんに促されて家に上がる。

妹さんはまだ、
「えー、なんでー」
って繰り返してるけど。

「あ、これ。
よかったら」

「えっ。
なになに?ケーキ?」

「はい」