「宮野……」

「正直、まだ自分の気持ちがよくわかんない。
でも、明石くんとは仲良くしたい。
……ダメ、かな」

「ダメじゃないよ」

明石くんが立ち止まって振り返るから、私も止まる。

月明かりで明石くんの笑顔が見えて、胸がきゅんとなった。

「僕さ。
この旅行、宮野が参加するっていうから参加した。
僕がかまうと宮野に迷惑になる、そんなこと考えて距離取ってたくせに、少しでも宮野の傍にいたくて」

「うん」

「しかも、いま聞くまで、僕のせいで宮野が傷ついてるなんてちっともわからなかった。
彼氏候補、とか何様だよって感じだよね」

ぶんぶん首を横に振ったら、つないだ手を引っ張られた。
そのまま倒れ込むように、明石くんの胸に飛び込む。

「ごめんね、宮野。情けない僕で。
遠ざけて守るより、もっと、ぎゅっと、こうやって守ればよかったんだよな」