お札を取って帰り道。

こんな機会はもうないかもしれないと、思い切って自分の気持ちを話した。

「あの、ね。
……前みたいなのがいいな」

「宮野?」

震えてる声。
うまく話せるか自信がない。
でも、いま話さないと。

「明石くんに素っ気なくされてつらかった、から。
私のこと、気遣ってくれてるのはわかるんだけど。
でも、私は前みたいに明石くんにからかわれてる方がずっといいな」

「けど。
このあいだのことは、僕が原因でもあるんだよ?」

暗いし、少し前を明石くんは歩いてるから顔は見えない。
でも、つらそうな声に後悔してるんだってことだけはわかった。

「そんなの関係ないよ。
私はあんなことする人たちに負けたくないし、いまはまだ無理でも負けない人間になるから」