こうやって笑って、私たちが自分で解決するのを見守ってくれる。

だから、これもきっと、私がひとりで答えを見つけなきゃいけないこと。

「ヒントはいくらでも出してやる。
いつでも聞きに来い?
あと、前から云ってるけど、おまえ、危機感なさ過ぎ」

先生の両手が肩に置かれて顔が近づいてくる。
いつもみたいにおでこにするときよりずっと顔の位置が低くて、思わず目を閉じた瞬間。

 ちゅっ。

鼻のあたまにふれた、柔らかいもの。

「いい加減にしないと俺、ファーストキス奪っちゃうよ?」

意地悪く笑う先生に文句を云おうと開いた口からは結局、なんの言葉も出せなかった。