聞こえてきた声に慌てて涙を拭って立ち上がる。
そんな私の顔を見た杉本先生は苦笑い、してた。

「あ、大丈夫、です。
もう、戻ります」

「大丈夫じゃないだろ、そんなうさぎみたいな真っ赤っかーな目ーして」

あたまをぽんぽんすると、促して隣に座るから、私も座る。

「どうした?」

心配そうな杉本先生の声。

先生に聞いてみようかな。
大人の先生だったら、いまの私の感情に答えをくれる気がする。

「先生は、その、……胸が痛くなったりしますか?」

「病気じゃなくて痛くなるっていうなら、イエスだな」

照れたように笑う先生がなんかちょっと意外。
先生はそんなこと、なさそうだと思ってたから。

「それってどういうときですか?」