するどくてやわらかい



《噂通りの》

ユリちゃんがアスカの地元の駅を知ってた理由



「あ」

朝、家を出てから定期を忘れたことに気づき、取りに帰ったせいでいつもより1本遅い電車に乗った今日。



運良く座れた座席から何気なく扉の方を見ていると、つい最近名前を覚えた“彼”が乗車してきた。



名前は確か、“アスカ”。



扉にもたれ掛かりながら、眠そうに手で隠すことなくあくびをしている。


同じ路線だったんだな。


この時間の電車は混んでいて、私は混雑を避けるために早い電車に乗るようにしているけど、

“アスカ”は電車の混雑よりも自分の睡眠時間を優先するようだ。



この前彼を見たときは、教室のある4階から見下ろしていたから気づかなかったけど、彼は思ったより背が高い。



膝に乗せていたカバンを抱え直して、することもないからそのまま“アスカ”を観察することにした。