ほんとうに当てるつもりなんてなかったのだろう。
“アスカ”はびっくりして固まっていた。
ちなみに、ヤマモト爆弾さんも顔をびしょ濡れにしながら固まってしまってた。
でも、周りの男の子たちはすごく笑っていて、それをきっかけに集中攻撃を受ける人がヤマモト爆弾さんに変わる。
「あはは!やばい。超うける。ヤマモト当たりすぎでしょ!」
「アスカは当てるつもりじゃなかったんだろうねー。アスカ、もう投げてないよ」
「やば、アスカ超優しい」
「さすが。ヤマモトとは違う」
楽しそうに笑うクラスの女の子たち。
そもそもクラスが違うのになんであの男の子たちのことを知ってるんだろう。
中学が同じなのかな。
そんなことをぼんやり考えながら、いい加減課題を終わらせようと机に向き合う。
「ヤマモトは納得なんだけどさー、アスカも大概友達多いよね。あたしもいつの間にかアスカと話すようになってた」
「あー、アスカって派手なことしてるわけじゃないのにすごい目立つよね。ヤマモトはうるっさいくて目立つけど」
「アスカは誰からも好かれるよね」
そんな会話が聞こえて、数学の問題を解く手が少し止まった。

