耳に入った会話。


視線だけを前へ向けると、窓から身を乗り出しながら外を眺める2人のクラスメートの女の子。



もう一度窓の外へと視線を向けると、さっきまでは気がつかなかったけど数名の男の子たちがいた。




「くらえー、ヤマモト爆弾!!」


「ばか!なんで一気に何個も投げるんだよ!」




4限が体育だったのか、これから5限が体育なのか、男の子たちはみんな体育着だ。


しかも、どこから持ってきたのか男の子たちはたくさんの水風船を抱えている。



“ヤマモト爆弾”をぎりぎりのところで避けた男の子は、それをきっかけに周りの男の子たちにも狙われだした。



「あはは。アスカ超狙われてる」

「かわいそー。でも結構避けてる」

「アスカ負けるなーがんばれー」



“アスカ”


ぎりぎりながらにも水風船を避け続ける男の子の名前は、アスカと言うらしい。



女の子みたいな名前だな。


頬杖をついて“アスカ”と呼ばれる男の子に注目していると、



「あ」



“アスカ”が投げた水風船が、ヤマモト爆弾さんの顔に命中した。