するどくてやわらかい




「じゃあ、僕は電車乗るから、」


「私も乗る」


またね、って言おうとした僕を遮って、彼女も椅子から立ち上がった。


カーディガンを着なおして、それから両手でお茶を転がしている。



「えっ、この駅じゃないの?」

「まだあと6つ先の駅」


僕より遠いじゃん…


軽く自己嫌悪に落ち入りながら、ホームに着いた電車に乗り込んだ。


ラッシュが過ぎたのか、さっき乗ってた電車よりすいてて、車内にはゆとりがある。


ドアに背中を預けると、彼女は僕の前に立って手すりを掴んだ。



いや、そりゃあ今更離れるのもおかしいし。

かと言って話す内容も思いつかないし。


混んでたら沈黙なんか気にならなかったのになぁ。


視線を足元へ向けて、手持ち無沙汰からズボンのポケットの中へと手を突っ込む。


変なものが入ってたらしばらく立ち直れそうもないから、さっき彼女が手を入れた学ランのポケットは確認しなかった。