「ごめん、こんなんしか思いつかなくて…」
差し出したのは自動販売機で買った、あたたかい飲み物。
好みがよくわからないから、お茶だ。
甘いものが苦手だったらココアは無理だし、コーヒーが苦手なことだってあり得る。
お茶の種類に関してはどうしようもないから僕の好み。
むしろ、そこまで気が回せた僕に自分で拍手だ。
「好みじゃなかったら、握って暖を取ってください…」
差し出した飲み物を、断られないように彼女の手に握らせた。
さっきは緊張しててわからなかったけど、手まで冷たくなってしまってる。
やっちゃったなぁ。女の子になんてことしたんだよ。
「ありがとう…」
呆気に取られたように彼女が言うと、ちょうどホームに電車が来る前の音楽が鳴った。

