するどくてやわらかい




「大丈夫。私、裁縫得意なの」


「そういう意味では!」


慌てふためく僕をよそに、僕のボタンは彼女のセーラー服の胸ポケットに収められた。



どうぞ。と言いながら学ランは返却され、それを素直に受け取る。



「誰かに見られるのがいやなら、どこか違うところで待ってるから」


だから、お願い。と。


きれいな顔に見つめられること数秒。



「わかり、ました」


僕はさらに頬を赤く染めながら、うなづくしかなかった。


肩にかけた彼女のカーディガンを返して、自分の学ランに袖を通す。


ちぎったのは第二ボタンで、必然的に第二ボタンまで開けたままの状態になる。


いつもひとつしかボタンは開けてないから、なんか落ち着かないなぁ。


そんなことを思いながら下のボタンを留めていると、


「っくしゅ」


控えめなくしゃみが聞こえる。

言わずもがなそのくしゃみは彼女のもので、そこで初めて僕は日も暮れて気温の下がった今、彼女のカーディガンを奪い薄着にさせてしまった事実を思い出した。


「あ、ごめん!僕がカーディガンとっちゃてたから!」


女の子の上着を借りるなんて、改めて考えるとすごくなさけない。


ボタンをつける間ぐらい、僕がシャツ姿でいればよかっただけなんだ。



何素直に受け取って肩にかけてんだ!

状況に思考が追いついてなさすぎだろ!


きょろきょろと辺りを見渡し、目当てのものを見つけると、ちょっと待ってね。と彼女に告げて小走りでそこへ向かう。


目当てのものを手に入れると、また小走りで彼女の元へ。