小学3年の時。
オレたち3人は同じクラスだった。

お調子者のオレ。
ワルガキだった和也。
今と変わらず、気の強かった真央。
 
喧嘩をしたら間違いなく真央が勝ってただろうな。
だけど、喧嘩なんかしたことなかった。
 
仲のよいクラスだったと思う。
 
そんな時、男子生徒の一人が、ある女子をからかっていた。
何を言ったかは、オレにはわからない。
たぶん、その子の家族について、何か悪いことを言ったんだと思う。

その男子を、真央は力いっぱい殴った。
「二度とそんなこと言うな!」

ふだん威張っていた男子が、泣いていた。
悪口を言われたらしい女子も泣いていた。


真央は先生に何を聞かれても、何で殴ったかという理由はかたくなに言わなかった。


「あたしのおかあさんのことです」
いつもおとなしいその子は、それしか言わなかったし。
「もう言いません」
威張っていた子は、泣きながら謝っていた。

泣かなかった真央。
担任の先生に
「手を出さなくても、話し合いで解決して欲しかったわ」
と言われたらしい。
 
真央を咎めなかった担任教師。
3人手をつないで、仲直りさせた。