青田は怒りに震えた表情で、そのまま帰ってしまったようだった。
　
真央は・・・
うつむいたままこぶしを握り締めていた。
　
何人かの女子生徒が
「真央！大丈夫？」
と、近づいた。

「あはは。平気！ごめんね、驚かせて。別に何でもないんだ～」
と明るい顔を見せた。

その言葉を聞いて、張り詰めていた空気が一瞬緩んだようだった。

それぞれ帰り支度を始めたり、がやがやと騒がしくなった。


さっきの女子生徒が、真央に
「一緒に帰ろう」
と、言っているのが聞こえた。

真央は、片手をゴメンのポーズにして
「あ～。あたし部室に忘れ物しちゃったから先に帰ってて」
と言った。

一緒に付き合うよ、
と言われたみたいだけど、その女子も真央の気持ちを察してか、
「じゃ、帰るね」
と、教室に戻っていった。


真央はひとりになりたいんじゃないかって。