感謝~あなたへ。~


もちろん難しいけれど、だからこそ少しずつでも形になっていくことがすごく快感でやみつきになる。

学園祭まではまだもう少し時間がある。

でき上がるのが楽しみな反面、思ってるものがちゃんとできるのか不安なのもある。

「ん?ここどうやったら縫えるの・・・」

そんなことも一人で呟きながら、今日もそれぞれ黙々と手元を動かし続けるのです。

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そして時間は流れ、太陽はとっくの昔に沈んでしまっていた。

「あー、疲れた。腰痛いし目も痛い」

腰に右手を当て、左手で目頭を押さえる。

大きく動くことはないから体力的には平気なのだけれど、ミシン台と腰の戦いと、手元の細かい作業と目の戦いで双方は痛い痛い。

これさえなければ・・・。

「お疲れ、真央」

「お疲れ、涼香」

ぽすっと涼香が私の隣に座り「だいぶ形になってきてるじゃん」と呟く。

「ここからだよ。まだまだお先行方不明」

「こだわりが強いからだよ」

「やれることは全部やりたいじゃん」

「さすが」

「涼香、真央!」

声がしたほうを向くと、教室の入り口で涼がこっちを見ていた。

なんだろう。

「どうせ『飯行こうぜ!』だよ」

涼香が頭を抱えながら言うなり「飯行こうぜ!」の声が。

デジャヴ。