まだ、正人さんからの連絡はきてない。

22時を過ぎているというのに、まだ残業しているのか、疲れてそのままベッドにダイブして寝ちゃったか。

後者なら仕方ない。

仕事の疲れも溜まっているだろうし。

休日は私が正人さんを拘束しちゃうから、ゆっくり休ませてあげれていない私にも責任はあるのだけれど。

「真央、おまたせ」

「いいよ!出ようか」

涼香とラーメン屋さんから出ると、外の風が心地よかった。

今は5月。

暑すぎることもないし、寒いこともない。

なんて素敵な時期。

「じゃぁ、また明日」

「あ、涼香、明日ってミシンの準備できたらもう縫い始めてよかったっけ?」

「確か、よかったと思う」

「ちょっと早めに行こうかな」

「じゃぁ私もそれに合わせて行ってあげるよ」

「感謝」

ばいばーい、と手を振って、私と涼香はそれぞれの帰路についた。

10分も歩けば家に着いた。

ガチャッと鍵を開けて、真っ暗な部屋に入る。

・・・ああ寂しい。

ピピピッ、ピピピッ---

そのとき、私のカバンの中で携帯が鳴り響いた。

「正人さん!」

待ちに待った愛しい正人さんからのメールだった。

『ごめん、すごい残業食らっちゃった。今日はこのまま寝たい気分だけど、真央は電話したい?そもそも、もう家に帰ってるのかな?』

私はそのメールを読んだ直後には電話していた。

『もしもし、真央?』

「お疲れ様です、正人さん。電話かけちゃいました」

『うん、お疲れさま。もう帰ったの?』

「はい、今ちょうど家に着いて、寂しいなって思っていたところです」

『そうか。ご飯は?』

「食べました。正人さんはこれからですかね?」

『そうだね』

「じゃぁ、今日はもう電話やめて、また明日にしましょ」

『ありがとう。遅刻しないように行くんだぞ』

「はい!おやすみなさい、正人さん」