「あ、ん、なんていうか・・・」
気になる。
いろんな意味で、気になる。
「上野くんって、あんなさわやかな顔してしゃべってるけど、なんか違うような気がする」
「は?」
「いや、だから、私もわからないけど。なんかたぶんもっと普通にしゃべれるんじゃないかな」
「真央、何言ってんだ?」
「わかんなけど」
自分でも何を言っているのかわからないし、なんて言っていいのかわからないけど。
上野幸太くん。
まじめで静かなおとなしいイメージの彼だけど、なんだかそれって一枚の『壁』がありそうな気がする。
ほら。
今だって、厨房で楽しそうに・・・笑ってる。
グ~~~~~。
そこに響き渡った、得も言われぬ音源は・・・。
「真央、お腹空きすぎて落ち着かないんじゃないの?」
私のお腹は、お店中に広がるおいしそうなラーメンの臭いにやられていた。
「お腹は空いた!」
そうか、そのせいなんだな。
数分後、運ばれてきた味噌ラーメンは、それはそれはおいしそうで。
「いただきます!」
ペロッと食べきってしまった。
お腹も満たされてしまえば、一気に睡魔が。
そのころには忘れていた。
そうか、お腹が空いていたからなんだ。
あんなに、何かの違和感を感じてしまったのは。
涼が3人分のラーメン代を払ってくれて、私と涼香は幸せ気分で家路についた。
家に着いてすぐお風呂に入る。
そして、正人さんにメールを送る。



