「うぉっ!やべ、ビチョビチョだよ」


そう言って、入ってきたのは一人の男。


ん?


誰だっけ?


見たことある気がするけど………




「藤だよ。よろしくな!」



だってさ。


って!!俺何も言ってないけど…!?



「お前と会ったの、確か最初の日にだけだったしな。どうせ、名前覚えてねぇだろ?」


そう言って笑っている。


なんだ、心の中読まれたのかと思った。

ホッと一息つくと
思い出したように

「あ、よろしくお願いします」

と挨拶をした。


「雨ですか?」


ビショビショに濡れた服を見て尋ねると


「そうなんだよ…来る途中、急にな。」



あれ?確か今日は雨降らないってTVで言ってたはずなんだけどな。


藤さんが入ってきたドアを見ると、雨が激しくぶつかっていた。


夕立かな?



「すまん、ちょっと奥行ってるから…」


そう言って、藤さんは従業員部屋の方へと向かっていた。


「はい。」


とりあえず返事をした時には
もうすでに扉を開けて部屋に入っていた。