「やだぁぁぁ、僕ずっとお母さんのとこで暮らすのおお!!!」
桃太郎が4歳になった日、彼は母親にしがみついて泣きじゃくっていた。
それもそのはず。彼は命を懸けて殿を守った武士の息子として4歳という幼さでこの村を収める殿の娘、陽鞠姫の護衛に任命されたからである。
「桃太郎、あなたのお父様はたいそう立派な武士だったのよ。」
優しい笑顔でなだめるように言う母親も、本当はまだ桃太郎といたいと思っている。だが、彼女は武士の妻。そして息子は侍なのだ。
「お母さん、いつか僕もお父さまみたいなぶしになれる?」
「ええ、もちろん。 お姫様をお守りするのが武士になる第1歩だわ。」
「じゃあ僕いく。頑張る!」
「時には顔を見せに来てね。いつまでも、自分の武士道に従って立派な侍になるのよ。」
これが彼にとって一番初めの旅立ちである。この時 桃太郎 まだ4歳。