折り鶴が舞い降りる

そのとき舞子は神秘的な光景を目にした。
雪がやんだと思っていたら
無数の折り鶴が空から
ふわりふわり舞い降りてきたのだ。

「舞ちゃん、起きて」
 陽子の声と共に
自殺した彼女の声が
どこからともなく聞こえてきた。
「自殺しても居場所がなくて・・・」
「居場所って自分で作るもの・・・」
すると突然、舞子の身体が宙に浮かんだ。
舞子が横たわっていたのは雪面ではなく
巨大な白い折り鶴の背中だった。
その心地よい浮遊感によって
舞子の意識は静かに遠のいていった。