汐月はまた、いつもと同じ朝を迎えていた。足がまだ痛く、思うように動けない。

午前中の授業を終え、第2図書室へ行こうと準備中。教室の中は人気のあるグループお昼を食べながらよく騒ぎ、瀬田に絡む。
大分うるさい。ほかの女子ももうちょっと静かにして?と注意しようものなら彼女達は"は?文句ある?"と威圧感を出しえ、何で?とふざけたようにいう。

その空気を感じ取ると、注意をした女子が友達に屋上行こと小声でいう。

「屋上ってさ、今風強いから空いてないよ?(笑)」と、後ろから投げかけてくる。

確かに今屋上は解放していない。諦めてそのグループは仕方なく、教室で自分の席を繋げてお昼を食べはじめた。
そのグループは全く会話がない。
人気のあるグループの前で騒いではいけないという暗黙のルールが存在した。

そのグループより、目立ったら目をつけられる。などそのようなことがあった。

そんなやりとりを聞きながら他人事のように教室を出ていく。
その汐月を瀬田は目で追って、捕まっていた、女子軍団から抜け出すと汐月を追いかけた。

廊下で汐月に追いつけた瀬田は汐月に話しかける
「昨日は大丈夫だったかな??」
と声をかける。
ビクッとして汐月はなにを喋っていいか分からず、目を見て早足に去って行ってしまった。

瀬田は自分が言ったことになんか、ダメなところがあったのか?と考え申し訳ない気持ちで汐月の背中を見つめる。

汐月は第2校舎へ入り、第2図書室の本棚で心臓の部分を抑え屈んだ。

人が話しかけたのに、無視をしてしまった罪悪感で押しつぶされそうになった。そして、汐月が悪い方へ悪い方へどんどん考える。


瀬田は女子にも男子にも人気で、瀬田が話しかけたのに無視をした。瀬田に好意をもっている。女子にいじめられると恐怖に陥っていた。

「も、もう、終わりだ。いっそいじめられて苦しむなら死にたいよぉ……」
と今にも消えそうな声で本に向かっていう。

憂鬱な気分で、本と昼食を終え教室に戻る。いじめられると警戒しつつ、教室へ入る。意外と何ともなく、一瞬ホッとした。


そして、いつもどおり午後の授業をおえ。みんなが帰るまで第2図書室で本を読み大体いなくなったと思うと帰りの支度をする。

そして、下駄箱。
そこには瀬田の姿があった。
珍しく、周りに人がいない。

しれーっと、前を通ろうと横切る直前に話しかけられる。
「ねぇ?汐月さん、お昼なにか嫌な事言っちゃってたらごめんね?大丈夫、かな?」

また、肩を竦め立ち止まる。
振り返ると、瀬田は誰でもなく汐月に目を合わせている。
ここで完全に無視をすると、ダメだと思い心で涙を流した。
「だ、大丈夫です。ほ、ほんとにっ!何も気にしないで下さぃ……あ、あとっ私、保健室でなにかあったのですか……?」
と、俯きながら聞く、保健室で瀬田に抱えられ運んで貰ったことは汐月の記憶になかった。

「あ……、そうなんだ……、
いや、汐月が保健室に運ばれたとき俺も保健室に居たから大丈夫かなっー?って思っただけだよ、」と瀬田最初は小声で、それから笑顔で返事をする。

汐月は、こんなイケメンに話しかけられることはもう二度とないと暑くなりながら話していたものだから、今日は特別スペアの眼鏡が顔にあってなく動揺していたら眼鏡がずり落ちてしまい、眼鏡を外す。そして、眼鏡をクリーナーで拭きかけ直す。


「ふふっ、汐月さんって面白いね。」
と笑い混じりに言う瀬田。

それに、汐月は顔を真っ赤にし俯く。
ば、バカにされてる……!絶対、なんだこいつとか、バカなやつだな(笑)とか思われてるっ!!
もう、やだ……。死にたいよぉと心で叫ぶ汐月とは裏腹に、瀬田はこの会話にきっかけにもっと知りたいと思った。
そして、瀬田に1つの感情が生まれた。