春。
それは出会い、別れの季節。

汐月 花音(しづきかのん)は少し不安な気持ちで第2図書室で古書を読んでいる。
汐月は今年で、高校2年生。

人と話す事が苦手で、中学生の頃はそれなりに友達がいたのだが、悪い方へ思い込みをする癖で中学では不登校気味になり、友達との交流がなくなってしまった。
だから、高校は誰も知り合いがいない高校へ入学。

また憂鬱に落ちてきた眼鏡を上げて、本の世界に入る。


入学式、教室での担任の話を終え帰る準備をする。人気のある女子はとても騒いでいた。
そんななか教室の外やなかに沢山の女子が群がっている。

理由はわかる、汐月のクラスには瀬田幸斗という人気の男子がいる。
瀬田は成績優秀で優しい、だが一番の人気の理由はルックスだ、甘いマスクでここらの学校で有名な人物。

だが喘息で激しい運動が出来ず体を動かすときは保健室にいる。

そんな、周りにがとても騒がしいくなる事に汐月はこのうえなく嫌だった。

そして、逃げる様に足速に第2図書室へ向かう。第2図書室は第2校舎の中にあり昔の古書などしかなく、不気味なことから人が寄り付かない。教師も重要な事がない限り第2校舎へ来ない。

汐月は第2図書室という、天国のような場所があり心底助かった。

皆か校門を出た頃、汐月は読んでいた本をパタリと閉じ、本を元の位置に戻し帰る。

これから、なんとなく目立たず無事学校生活を終えれるように祈りながら俯き帰宅。

家に帰っても、室内は暗い。そして、まだ彼女は1日号令などを除き一言も自分の意思で言葉を発していない。

話す相手などいない。

親が共働き、どちらも帰りが遅い。
母は看護師、父は会社勤め。表向きとしては仲がいい家族に見えるのだか見えない壁が存在する。

その事に、汐月花音は気づいている。

だけど、汐月花音はこれでいいと思っている。なぜなら、今の生活で満足だから。

余計なことをして、今のリズムを壊さないようにしてしている。

今日も自分で作った晩御飯を済ませなにかする訳でもなく、風呂に入り、布団で短編の本を1冊読む。

そして、何を考える事もなく目を瞑り夢の中へ落ちてゆく。