俺は家に帰ってもイライラしていた。


勝手なのは自分でも良くわかってる。


あれだけ芽衣に付き纏われて嫌で
仕方なかった俺が今あいつが他の
男と一緒に居るだけでイライラしてる。


将人の言ってた事を思い出した。


「絶対に芽衣の事.好きになりますよ…。」


笑ってしまう…その通りだった。


俺は芽衣の事が好きになっていたんだ。


どんなに酷い事を言っても芽衣は
めげずに俺に想いをぶつけてきた。


そんな芽衣に俺は安心してたのかもしれない。


失って気付く大切な存在。


いつも明るくて…お節介で…何事
にも一生懸命で…それが凄く可愛くて…。


今さら気付いても遅いのに…あの
芽衣の笑顔も全部あの男のものに
なってしまったのに…。


「渉先輩♪」

あいつの元気な声で呼ばれたい。

もう一度でいいからあの走って来る足音を聞きたい。

そしたら…今度は俺から正直な気持ち伝えるのに…。