「私と君、そしてクラスメイトの逢澤 春大(あいざわ はると)君、朱鷺田 鈴子(ときた りんこ)ちゃんの4人はある事件に巻き込まれたの」
「事件?」
「うん。私は4人は超常現象部のメンバーで、この学校の七不思議について追っていたんだ。そしてある時に春大君が七不思議の一つにあったの」
「七不思議に…か?」
「そう。その七不思議は、呪暗子(のくらこ)さん」
「呪暗子さん?」
「呪暗子さんって言うのは、音楽室に住み着く幽霊で、音楽室から1年生廊下前までを住処にしているの。その間の廊下を4時44分44秒に歩いていると、呪暗子さんに話し掛けられるの。『どうしているの?』って。それに答えてはいけない事そして、言葉を発さないで、その廊下を走り抜ける事」
「話したり、走ってる時に言葉を言ったらどうなるんだ?」
「彼女の世界に連れて行かれる。この世界では、行方不明とされるの」
「…」
「その呪暗子さんの世界は『幽霊の世界』とも呼ばれてて、その世界から抜け出すには必ず、生きた身体がある事が条件。幽霊の世界は生きる身体を求める者で絶えないの。だから、必死で逃げないと帰って来れない。生きた身体から精神を切り離されると一生と言っていい程帰って来れないの」
「どうしてだ?」
「簡単だよ。身体が欲しいのにその本人に返しちゃう?返す訳ないよね?」
「そうだな…」
「って事だよ。んで、春大君はそういう対処を知ってたから幽霊の世界には行かなかったから良かったものの。鈴子ちゃんは学校七不思議の七つ目を見つけてしまったの」
「俺達は知らなかったのか?」
「七不思議の七つ目を知ってしまったら記憶を消されるの。でもでも、君の記憶が無いのとは別だよ!鈴子ちゃんがその七つ目を話し出したの。私は知ってても言わないで欲しかったと思ったよ…。そう言えば今の君には話して大丈夫だね」
「どうしてだ?」
「七不思議でさえ、忘れてるから君が今知ったのは三つ目の呪暗子さんだけ」
「だけど七つ目を知ったら…」
「六つ知っているのが条件。だから問題ないよ。私は前々から知ってたんだけど…」
「え?」
「何故か私は記憶は消されなかったの。その代わり、私の他に知る人が分かるの」
「なんか凄いな」
「そうかなぁ〜?まあ、話し続けるよ?んで、鈴子ちゃんが私達に話し始めて、それを実行しようと言い出したの。私はもちろん反対。前から知ってたのもあったし、リスクがある事から。君も反対したんだよ。でも、春大君はその呪暗子さんを経験したせいか余裕だって言って…結局の所私達が折れて決行」
「その七つ目って?」
「『鬼宝探し(きほうさがし)』自分の大事な物が学校の中に隠されるの。それを探すんだけど、そこに鬼ごっこ要素が入るの」
「鬼ごっこ?」
「鬼ごっこと言っても隠れ鬼が近いかも。大事な物を探しつつ鬼が私達を探すの。そして見つけたら、殺すの」
「…!?」
「普通、見つけたらタッチとか言ってワイワイ出来るけど見つけたら何かしらの方法で殺される。でも、誰か一人が大事な物を見つけてある所に置く事が出来たら生き返る事ができるの」
「不思議だな」
「殺された身体には傷が残って、痛みが生じて探すのに不利になる。だから、隠れている方がマシなんだよ…」
「でさ、全員分の大事な物を見つけたらどうなるの?」
「本来の世界に帰れるよ。でもね、四つ目が見つかって殺されると、本来の世界には帰れないの。それが私」
「愛心が…!?」
「私、失敗したの。でも、君と鈴子ちゃん、春大君は生き残ったよ。だから私はいいんだ。また、君が見れたから」
と、愛心が言うと笑顔を見せた。俺は何故か涙を流していた。
「俺…泣いてる。どうしてだ?…俺は…何か大事な事」
「もう、君には会えないと思う。事実を伝えたから」
「待ってくれ!」
「夢なんかじゃないよ。ここは、『鬼宝探し』の世界」
「…え?」
「君が創り出した世界。やり直したいって思う気持ちから創り出された世界だよ」
と言うと、真っ暗な世界から学校の玄関前ホールに変わっていた。
「やり直したいんでしょ?今度は自分の気持ちに素直にね。皆は…体育館にいるよ。私も」
と愛心が言うと愛心が姿を消した。
「…行かないと。体育館に」
俺は、体育館に向かって走りだした。