スーパーヤンキー!!

「さっきの話の続きだが、白蘭中の不良達を守るには安全な場所が必要だと思う。だが、不良しかいねぇ学校だ。守ってくれる人間は少ない。それで俺は、その状況を利用出来ねぇかと思った」


「利用?そんなモンどうやって利用すんだ?」


「まずは白蘭中を潰す」


「はあ?!蓮、お前マジで言ってんのか?」


六人全員が驚いた顔で俺の方を見る。俺は平然と話を続けた。


「ああ。だが潰すっつても、白蘭中をほんとに消しちまったら意味がねぇ。俺の目的は白蘭中を不良達の住処にする事だ。そしてそこで俺達が上に立ってその不良達を従える」


「おいおい、そんな事マジで出来んのかよ……」


「潰すっつてもどうやって学校だけを残して潰すんだ?廃校になっちまったら教師も何もかも残んねぇんだぞ。それに、いつかは潰されちまう。長くはもたねぇ」


「分かってる。だから形だけ潰す」


「形だけ?ますますわけ分かんねぇよ。どういう事だ?」


「まずは白蘭中の不良達を俺と万冬と郁人と瑛凛と颯真の五人で何かしら理由つけて学校に行けなくさせる。相手が不良だからそこはやりやすいはずだ。そうすれば学校側も存続の危機に陥る事になる。それに、不良達の保護者からも学校に行くよう説得して欲しいと学校側に依頼が来るだろう。そこは学校側に勝手にやらせておけばいい。どうせ人手も足りねぇし、いつも通り怯えきって何もできやしねぇからな」


「だが蓮、その方法じゃちょっと無理があるんじゃねぇか?いくらなんでも白蘭中の不良達に理由つけてなんてどうやっても不可能だ。それに、不良だからこそ説得なんて出来やしねぇよ。話だってまともに聞いちゃもらえねぇ」


「そこは大丈夫だ。俺ら五人で学校の不良を十人くらい一気に呼び出してボコる。それだけでいい。人間ってモンは、自分より格上に逆らえないように出来てるからな。後は脅すだけだ。一ヶ月くらい学校には来るなってな」


「ボコすっつっても学校側が危機を感じるくらいの人数となるとかなりの時間と力が必要になる。だいたいどれくらいの人数を相手にするんだよ?」


「そうだな。俺は学校にいる不良の半分をやれれば十分だと思ってる。元々白蘭中は不良しかいないせいで生徒数も多くない。時間はそんなにかからないだろ」


「…………」


「どうした?そんな非道な事は出来ねぇか?」


「……そんなんじゃねぇよ……で、そっからはどうすんだ?」


「そっからは簡単だ。校長に俺らが生徒を説得して連れてくるって言えばいいだけ。その時ついでに条件として白蘭中を白蘭高にしてもらう。もちろん名前だけじゃない。本当の中学、高校生共同の学校にさせるんだ」


「共同の学校?何でまたそんな事をするんだ?」


「それは、今起きてるあの事件が学生をターゲットにした事件だからだよ。中学を無事に卒業しても、高校でまた狙われる。それじゃあ意味がねぇ」


「……そうか。分かった。でも、共同の学校に変えるなんて流石にそこまでは無理だろ」


「それは俺に任せてくれ。何とかする」


「なあ蓮、一つ言わせて貰うけどよ、俺と颯真は小6だぜ?蓮達はともかく俺達には中学生の不良をボコるなんて無理じゃねぇのか?」


「何言ってやがる。お前らは何度も年関係なく俺らと何人も相手にしてきたじゃねぇか。そんくらい楽勝だろうが」


「まあ……そうなんだけど」


「とにかく、俺はこれからの事を話した。後はお前らに任せる。俺は今日から実行するつもりだが、お前らは今日一日よく考えろ。やると決めた奴は明日の朝10時、またここに来てくれ」


「……………」


「話はそれだけだ。俺は今日もここに泊まる。すまねぇが、一人になりてぇからお前ら今日はもう帰ってくれねぇか?」


「……分かった。葵葉、蒼茉、帰るぞ」


「ほら、瑛凛と颯真もさっさと行くぞ」


万冬が葵葉と蒼茉を連れて行くと、その後から郁人が瑛凛と颯真を連れて行く。俺は居間のソファーに体育座りをして顔を膝の間にうずめる。


「……はぁ……今日からが勝負だ……もう二度と笑って過ごせなくても、俺はやり遂げてやる……」


俺は決意を口にしながら、痛む胸を右手で強く押さえつける。表には決して出せない。これからは弱い部分を全て捨てなければ。人の上に立つという事はそういう事だ。時には非道な事もしなくてはならない。そういう時にこの感情は邪魔だ。


「そう思い詰めるなよ」


「ったく、お前らしくねぇ事しやがって」


いつの間に戻ってきたのか、俺の隣には万冬と郁人がいた。二人共俺の両肩にぽんっと手を置く。


「なあ蓮。お前、何で俺らに嘘ついた?」


「……………」


「お前も俺らにちゃんと話せよ。自分だけ隠し事しようなんて許さねぇ」


「……………」


「どうしても言わないなら俺らは降りるぞ」


万冬の真剣な表情に、一人で抱えていこうと決意していた気持ちが揺れる。


「……何で……」


「何で俺らが嘘ついてるって分かったか?そんなモンお前を見てれば分かるんだよ」


「お前、いつも嘘ついてる時髪をいじる癖がある。俺らは結構前から知ってたぜ」


「……ッチ……」


「あっ!蓮お前、今舌打ちしたな!?」


郁人が俺の首に腕をまわして締めつけてくる。


「おい、やめろ。痛い」


「へっ!やめるかよ!お前が全部話すってんなら離してやってもいいけどな!」


「チッ……しつこい……」


「諦めろ。郁人は粘着力がどんなものよりも強ぇからな。ねちっこい奴だ」


「はぁ!?そういうのはねちっこいって言わねぇんだよ!友情に厚いって言うんです〜」


「はいはい」


「ぜってぇ思ってねぇだろ!」


「……フッ……」


万冬と郁人の会話に思わず笑ってしまう。この二人なら、一緒に重荷を背負ってくれるかもしれないと思えた。万冬と郁人も、俺の方を見て何か決意をしたような表情をしている。