スーパーヤンキー!!

頼飛先生のびっくり発言から早二週間。俺と郁人と万冬は、机に広がる、文字が敷き詰められた紙を凝視していた。


「あ〜!くっそ!全然分かんねぇ!俺マジで国語苦手なんだよ!」


「郁人が苦手なのは全教科だろ。早くしねぇと今日中に一個課題終わらせるっていう目標が終わるぞ」


「それは俺の目標じゃねぇよ!そこのソファーで寝てる奴の目標だろうが!」


郁人が目を向けた先には、頼飛先生がいる。


「おい、聞こえてるぞ。郁人、サボんじゃねぇよ。さっさとそんくらい終わらせろ。ったく。蓮と万冬は真面目にやってんのになー」


「うるせぇよ!俺とこいつらじゃ頭の出来がちげぇんだよ!」


頼飛先生は郁人を馬鹿にしたように笑う。


あれから、結局俺達は親の許可をもらって夏休み中、頼飛先生の家で過ごす事になった。とんでもない提案だったわりに、結構早々と事は進んだ。


そして今日、頼飛先生の監視の元、俺達は課題を一つ終わらせなければならなかった。まあ、二週間の間、毎日遊びしかしてなかったから当然と言えば当然なのだが。むしろ一つ終わらせればいいだけなんだから、楽なもんだ。


「そういや、今日あいつらは来るのか?」


「あ?ああ、瑛凛達の事か。もうすぐ来るんじゃね?あいつら、結構桜庭の事気に入ったみみたいだし」


「本当に桜庭っていろんな奴に好かれるよな。蓮も桜庭の事めっちゃ尊敬してるし」


「ま、確かに蓮が"頼飛先生"なんて呼んだ時はびっくりしたぜ。遂に耳がおかしくなっちまったかと思ったわ」


「おいおい、軽く失礼な事言ってんじゃねぇよ」


俺は頼飛先生の言葉を聞いて少し笑いながら、夏休みに入って次の日からの事を思い出していた。俺達は瑛凛や葵葉達と計画してた予定を、頼飛先生と一緒にした。だから、移動は頼飛先生が車でしてくれたし、瑛凛や颯真の面倒も見てくれた。おかげで俺は葵葉と蒼茉に美味いものをたくさん食わせてやる事が出来た。ほんとに有難い事だ。とにかく俺達は夏休みを頼飛先生と一緒に楽しく過ごしていた。


ピンポーン。


「お、来たか。またうるさいのが増えるな」


ガチャ。


頼飛先生が扉を開けた音と共に、バタバタと走り込んでくる足音が聞こえた。


「こら瑛凛、颯真。あまり人の家で暴れるな」


「いいじゃん!せっかくの夏休みだし、今日の夜は皆でBBQだぜ!テンション上がるだろ!」


「そうだそうだ!」


「葵葉と蒼茉はあんなにいい子なのにな……はぁ…」


万冬は言いながら、ソファーで大人しく座っている葵葉と蒼茉を見ながら溜息をつく。


それから課題をなんとか終わらせた俺達は、BBQに必要な食材を買うメンバーと、残って道具を準備するメンバーに分かれた。


そして夜、俺達は頼飛先生入れた八人でBBQを堪能した。ものすごく楽しかった。多分、頼飛先生がいたから、いつも以上に楽しかったんだ。


俺達は全員、事件の事なんて考えていなかった。いや、考えないようにしていたから、いつの間にか忘れていたのかもしれない。だからこそ、楽しめたんだ。ただ一人、頼飛先生を除いて。