終業式。
校長の話を聞き流しながら、俺は郁人の話を思い出して頭を抱えていた。あの後、郁人はまだ落ちつかない様子だったから、居間でゲームをしていた瑛凛達四人を帰して、万冬と郁人を家に泊める事にした。万冬には帰ってもいいと言ったが、本人が納得しなかったし、俺も正直いてほしいと思った。一人じゃあの時の郁人を支えられないと思ったから。それに多分、同じ学年、同じクラスのうえに幼馴染みだから、一人だけ何も出来ずに帰るのは嫌だったのだろう。
あれから一週間と少ししか経っていないが、女の死体が発見され、ニュースで報道される事によって、近所の連中は大騒ぎだ。まあ、人が残酷に刺殺されていれば、誰でも落ち着いてはいられないだろう。それに、テレビじゃ何度も刺したような痕跡があったと言っている。
郁人の言った通り、殺された女は学生だったらしい。おかげで校長の話もこの長さだ。さっきからずっと事件の話をしては、これはするな。あそこには行くな。と、丁寧に注意してくれる。ありがた迷惑だ。
やっとの事で終業式が終わると、俺は万冬と郁人と一緒に三人で並んで帰る。
「ったく!校長話長いんだよ!」
「確かに。壇上に立つとめちゃくちゃ喋るからなぁ。でもま、心配してんじゃね?」
「いや、あの校長の事だ。きっと保護者にきつく注意するよう言われたんだろう」
郁人と万冬が普通に会話しているのを見て、俺は少しほっとした。まだあの事件の事を考えてしまっていたが、なんとか俺も、悟られないよう、会話に混ざる。
「ほんと、うちの校長は親達に弱いよな。だから舐められんだよ」
「保護者も自分で言えばいいのにさ。全部校長に押しつけて、自分達は知りませんって感じだもんな」
「けど、俺の親も郁人と万冬の親も他人には頼らないよな。ちゃんと責任持ってくれるし」
「そうだな。俺達は親に恵まれた」
「他の奴らは可哀想だよな。親があんなんだったら、嫌でもグレるわ」
何気ない話をしながら校門を出ると、俺は何かに見られているような視線を感じ、辺りを見回す。
「おい、どうした?」
「…え?何?」
「誤魔化すんじゃねぇよ!下手くそか!」
警戒心がつい強くなりすぎて、うまく答えられなかった。二人共俺を見ている。まずい。誤魔化しきれない。俺は正直に話す。
「……いや…なんか、見られているような気がして…」
「マジかよ…」
「とにかく、周りに注意して帰ろう」
俺達は頷きあって急ぎ足で帰ろうとした。その時だった。
「ねぇ、君達。白蘭中の子だよね?」
学生達のうるさい声の中でも、その低くて優しい声は、はっきりと耳に届いた。でも俺がその声を聞いた時、確信したことがある。それは…………
確実に"近づいてはいけない"人間"だという事。
校長の話を聞き流しながら、俺は郁人の話を思い出して頭を抱えていた。あの後、郁人はまだ落ちつかない様子だったから、居間でゲームをしていた瑛凛達四人を帰して、万冬と郁人を家に泊める事にした。万冬には帰ってもいいと言ったが、本人が納得しなかったし、俺も正直いてほしいと思った。一人じゃあの時の郁人を支えられないと思ったから。それに多分、同じ学年、同じクラスのうえに幼馴染みだから、一人だけ何も出来ずに帰るのは嫌だったのだろう。
あれから一週間と少ししか経っていないが、女の死体が発見され、ニュースで報道される事によって、近所の連中は大騒ぎだ。まあ、人が残酷に刺殺されていれば、誰でも落ち着いてはいられないだろう。それに、テレビじゃ何度も刺したような痕跡があったと言っている。
郁人の言った通り、殺された女は学生だったらしい。おかげで校長の話もこの長さだ。さっきからずっと事件の話をしては、これはするな。あそこには行くな。と、丁寧に注意してくれる。ありがた迷惑だ。
やっとの事で終業式が終わると、俺は万冬と郁人と一緒に三人で並んで帰る。
「ったく!校長話長いんだよ!」
「確かに。壇上に立つとめちゃくちゃ喋るからなぁ。でもま、心配してんじゃね?」
「いや、あの校長の事だ。きっと保護者にきつく注意するよう言われたんだろう」
郁人と万冬が普通に会話しているのを見て、俺は少しほっとした。まだあの事件の事を考えてしまっていたが、なんとか俺も、悟られないよう、会話に混ざる。
「ほんと、うちの校長は親達に弱いよな。だから舐められんだよ」
「保護者も自分で言えばいいのにさ。全部校長に押しつけて、自分達は知りませんって感じだもんな」
「けど、俺の親も郁人と万冬の親も他人には頼らないよな。ちゃんと責任持ってくれるし」
「そうだな。俺達は親に恵まれた」
「他の奴らは可哀想だよな。親があんなんだったら、嫌でもグレるわ」
何気ない話をしながら校門を出ると、俺は何かに見られているような視線を感じ、辺りを見回す。
「おい、どうした?」
「…え?何?」
「誤魔化すんじゃねぇよ!下手くそか!」
警戒心がつい強くなりすぎて、うまく答えられなかった。二人共俺を見ている。まずい。誤魔化しきれない。俺は正直に話す。
「……いや…なんか、見られているような気がして…」
「マジかよ…」
「とにかく、周りに注意して帰ろう」
俺達は頷きあって急ぎ足で帰ろうとした。その時だった。
「ねぇ、君達。白蘭中の子だよね?」
学生達のうるさい声の中でも、その低くて優しい声は、はっきりと耳に届いた。でも俺がその声を聞いた時、確信したことがある。それは…………
確実に"近づいてはいけない"人間"だという事。

