スーパーヤンキー!!

夏休み直前の日曜日、俺達は夏休みの計画を立てる為に俺の家に集合した。


毎年夏休み前には、こうして俺の家の居間に集まって、夏休みにどこに行こうとか、何をしようとか、誰でも考えるような普通の事を話し合う。


それもこれも、ある意味郁人の為だ。あいつは絶対、人に言われないと勉強なんてしない。いや、言われてもしない事の方が多いけど。


もちろん小6の颯真や瑛凛、小5の葵葉、小4の蒼茉も家に呼んでいつものメンツで話し合う。


なぜ俺の家かっていうと、俺の家が一番白蘭中に近くてコンビニも周りにたくさんあったからだ。あと、家が一軒家で大きいから。


そんな俺の家の居間で瑛凛達が来るのを待っていると、郁人が急に「お菓子を買いに行く」と言って出て行ってしまった。勝手な奴だ。それから数分後、


瑛凛や颯真、葵葉や蒼茉が家に来た。瑛凛と颯真は、相変わらずでかい声でどこに行きたいかを言っている。


「俺今年も海行きてぇ!」


「俺も俺も!んで、夜は肝試しな!」


「そうだな。まあ、海は決定か。葵葉と蒼茉はどこに行きたい?」


万冬が言うと、


「俺、遊園地に行ってみたい」


「俺は……美味しいもん食えるならどこでもいい」


「葵葉は遊園地で蒼茉は食いもんか。じゃあ、遊園地も決定だな」


いつものように控えめに答える二人を見て、万冬は苦笑する。


「お前ら、もっとちゃんと行きたいとこ言っとかねぇと、また郁人と瑛凛達の行きたいとこばっかになっちまうぞ」


「行きたいとこないのか?」


俺が心配して聞くと、葵葉と蒼茉はお互いに顔を見合わせて笑顔で答える。


「俺達は皆の行きたいとこに行けるのが一番楽しいんだ。だから皆が行きたいとこに行きたい」


「俺も同じ」


「……分かった。ありがとな」


俺も万冬もそれ以上は何も言わなかった。ただ、葵葉と蒼茉の頭を撫でる。傷つかないように、優しく。


「おいおい!俺と颯真を省いてなに仲良くしてんだよ!俺らも混ぜろ!」


「そうだぞ!俺らは仲間だろ!」


それを見ていた瑛凛と颯真がふてくされた顔をして、すかさず割って入る。


「おいお前ら!少しは葵葉と蒼茉を見習え!ほんっとに落ち着きのない奴らだな!」


なだめようとする万冬とギャアギャア喚き散らす瑛凛や颯真を見ながら、俺は苦笑した。


しばらくして、お菓子を買いに行っていた郁人が、お菓子の入ったでかい袋を持って戻ってきた。


俺と万冬はすぐに、郁人の様子がおかしい事に気づく。顔も少し青ざめているようだ。


「おい、どうした?そんな青い顔して」


「もしかして、腹痛とか?」


「トイレでも我慢してんの?」


俺が心配して言うと、瑛凛と颯真が冷やかす。


瑛凛と颯真に少しイラッとした表情を見せた郁人だったが、いつもみたいに言い返すことはなく、俺と万冬に目線を向けてくる。


俺と万冬が顔を見合わせて郁人に近寄ると、郁人は静かに耳打ちしてきた。


「ちょっとお前らの耳に入れておきてぇ話があるんだけどよ、なんか上手い事言って、こいつらに話が聞こえねぇように出来ねぇか?このお菓子も使っていいから」


俺と万冬は訳が分からなかったが、郁人のいつもと違う雰囲気を感じとり、頷く。


「おいお前ら。郁人がこの袋の中の菓子食っていいってよ」


「ちゃんと皆で分けて食えよ。俺達は郁人の勉強見てやんねぇといけなくなっちまったから、ここでゲームでもしながら遊んでな」


「絶対邪魔すんなよ」


万冬に続いて俺と郁人も言う。


俺はゲーム機を貸してやってから、二階の俺の部屋に万冬と郁人を連れて行く。気のせいか、なんだかいつもより足が重い気がした。