敦也。
敦也はどんな大人になるのだろう。
俺はいつも敦也がまぶしかった。
俺と正反対の性格の敦也はいつだって俺の太陽みたいな存在だった。
弁護士の父親と美人で料理上手な母親に育てられた敦也。

いつも成績は学年トップだった。
学年代表で弁論を読むのもいつも敦也。学級委員を三年連続で任せられ中学、高校と生徒会長をしていたのも敦也。

それにスポーツも得意だった。
小1から空手を習っていた敦也は、すごく強かった。

県内1位。全国大会でもベスト4。


「負けちゃった。はは…やっぱ全国の人達は強いなぁ…僕ももっと頑張らなくちゃ」

試合後、笑いながら俺に話かけてきた敦也は悔しそうだったけど、目が輝いていた。
自分より強い人間がいた。高い目標ができた。明日からまた頑張る理由ができた。敦也は、もう次のステージに向かっている。
俺にはそんな風に見えた。そんな敦也が心底羨ましかった。
俺は目標なんてない。頑張る理由もない。
頑張ったって負けた時に立ち直る自信がないから。
ほんとは敦也に憧れて始めた空手だって3年で辞めた。

自分なんかよりどんどん上手くなっていく敦也を近くで見ていられなかった。
なんで、俺と同い年なのにこんなに違うんだよ…って悔しくて悔しくてたまらなかった。

俺は敦也を友人として尊敬している。俺にないものをたくさん持っているし、俺のできないことをあいつは簡単にやってのける。

でも敦也を見ていると、好きという気持ちと、憎くてたまらない気持ちが混ざり合った変な感情になる。



ー嫉妬心は人をおかしくするー

以前、誰かが言っていた。