「智司ーー!帰りクレープ食べようぜクレープ!」
真壁の声がする。振り向くと、かなり遠くに真壁の姿が見えた。
あいつの声はよく通る。このキャンパスの学部と学部を繋ぐ渡り廊下の天井に、何回も高い声が跳ね返って俺の元に届く。
「クレープって、お前。女子かよ」
俺が思わず呟くと真壁はもう既に俺の横に来ていた。相変わらず足が速い。
「この間、彼女と行ったら結構美味かったんだよな!お前甘党だし、好きだろ?クレープ」
好きだろ?という質問には答えずに「あぁ、あの女子アナ顔の彼女か」と、答える。
「おう、超かわいい。女子アナは女子アナでも人気女子アナな!」へへっと鼻を撫でながら真壁が言った。こいつはからかってもいつもなんてことない顔をする。単純で、帰ってくる言葉が安易に想像つく。本当に一緒にいて楽だ。
そういえば、と真壁が続けた。
「お前も今度、彼女紹介しろよ。Wデートとかしたらぜってえ楽しいからさ」
「あー。考えとくわ」
「なにその煮え切らない返事」
俺は話を逸らしたくて咄嗟に、お前煮え切らないなんて難しい言葉よく知ってんなー、とまたからかう。
からかわれてもずっと笑っている真壁の白い歯がまぶしい。色黒だからより、白さが際立つ。
「真壁悪い、俺今日バイト。4限で帰るから無理」
俺はそういい残し、真壁に背を向けた。
後ろから「んだよ、つまんねーなー」と声がした。
しばらくして、「彼女、絶対紹介しろよ」また高い声が俺の背中に届く。
俺は振り向かずに手を振った。
真壁の声がする。振り向くと、かなり遠くに真壁の姿が見えた。
あいつの声はよく通る。このキャンパスの学部と学部を繋ぐ渡り廊下の天井に、何回も高い声が跳ね返って俺の元に届く。
「クレープって、お前。女子かよ」
俺が思わず呟くと真壁はもう既に俺の横に来ていた。相変わらず足が速い。
「この間、彼女と行ったら結構美味かったんだよな!お前甘党だし、好きだろ?クレープ」
好きだろ?という質問には答えずに「あぁ、あの女子アナ顔の彼女か」と、答える。
「おう、超かわいい。女子アナは女子アナでも人気女子アナな!」へへっと鼻を撫でながら真壁が言った。こいつはからかってもいつもなんてことない顔をする。単純で、帰ってくる言葉が安易に想像つく。本当に一緒にいて楽だ。
そういえば、と真壁が続けた。
「お前も今度、彼女紹介しろよ。Wデートとかしたらぜってえ楽しいからさ」
「あー。考えとくわ」
「なにその煮え切らない返事」
俺は話を逸らしたくて咄嗟に、お前煮え切らないなんて難しい言葉よく知ってんなー、とまたからかう。
からかわれてもずっと笑っている真壁の白い歯がまぶしい。色黒だからより、白さが際立つ。
「真壁悪い、俺今日バイト。4限で帰るから無理」
俺はそういい残し、真壁に背を向けた。
後ろから「んだよ、つまんねーなー」と声がした。
しばらくして、「彼女、絶対紹介しろよ」また高い声が俺の背中に届く。
俺は振り向かずに手を振った。


