涙でぼやけてあんまり見えなくて、どんな表情をしているのか分からないが、璃壱の顔とその背後に立つ時雨の顔がかすかに分かる。
「なんで泣くの?」
その璃壱の声色は優しくてなんだかもっと涙が瞳からこぼれ落ちる。
そんな俺を見て璃壱は俺の両頬に添えていた両手を脇の下にもってくると、ヒョイッと俺を持ち上げてベットの上に座らせる。
軽々しく持つから少しびっくりしたが気にしない。
2人は俺の前に片膝をつけるように座ると俺の顔を心配そうな顔で見る。
「だって…ふっ…俺、いつも…ぐす、2人に甘えすぎで…このままじゃダメだって…っ…分かって、いるのに…」
詰まりながらも必死にそう伝えると、時雨は俺の頭を優しく撫でながら「そうじゃない。」と頭を横に振る。
「俺は泣いてほしくて自覚をもてなんて言ったわけじゃない。
アスにはアスにしかない素敵な魅力がある。
それを知り、もっと自分に自信を持って欲しいんだ。
それに俺達はアスに甘えられるのは嬉しい。
迷惑なんかしていない。
迷惑と思ったことなんてない。」
微笑みながらでそう言う時雨の言うことは嘘じゃないと分かる。
璃壱も「そうだよ。」と言いながら俺の目じりに溜まっている涙をすくう。
「俺達だってアスにたくさん甘えてるし?
甘えて、甘えられて。
そうやって過ごしていくのもいいじゃん?
俺達はアスだから甘えられるんだよ?
抱きつくのも、朝、起こしに行くのもアスだからなんだよ?
だからねアス。もっと自信を持っていいんだよ。」
そして、眩しいぐらいとびっきりの笑顔を見せる璃壱。
「本当に……こんな俺で、いいのか?」
おずおずと2人に目線を合わせる。
当たり前と言うように深く頷く2人の優しい顔はキラキラとしていて心がポワッと暖かくなった。

