「時雨…自分で出来るから。」




黙々とボタンをとめている時雨の手首を掴み行動を止めさせようとするが、止める気配はないようで。




「…………」




チラッと俺に目をむけ一瞬目が合うが、またボタンに目を向ける。




まるでやらせろ、と言っているようで仕方がないな〜とされるがままに時雨の指先を目で追っていたら第二ボタンまでとめてもらった。




「………ん、できた。」




「サンキュー」




少しデカイシャツは丈も袖口もあわなくって手はギリギリ指先が出るくらい隠れるしパンツは見事に隠れるからワンピースみたい。




今はサイズがでかいけど、どんどん背が大きくなってぴったりサイズになるんだっ!




時雨は軽く微笑む。




その優しい顔に不覚にもドキッとしてしまった。




時雨は本当に世話好きで俺に対して少し過保護なところがある。




まぁ俺が頼りないからかもしれないけれど。




包丁をもてば絶対に指を切る。

電車にだって方向音痴だから目的地につかず反対方向に行ってしまう。




そんな姿を2人にはこれでもかってほど見せてきたから時雨は世話好きになったのだろう。




現にネクタイも満足に結べない俺は時雨が結んでくれて、その手際の良いこと。




「はい、ズボン。」




ズボンも時雨から受けとる。




そしてダメダメな俺はズボンを立ったままでも履けなくて絶対にコケてしまうから座って履く。




もう、時雨と璃壱に比べたら俺の存在なんてカスも同然、月とスッポンだ。