「ありがとうございます、失礼します」 研究室に入ると微かに辰巳さんの匂いがする。 キツい匂いではなく、コロンのような甘い香り。 まだ研究室の棚には本などはあまりなく、必要最低限のものしかない。 初めて入ったので、キョロキョロとしてしまう。 「珍しいですか?まだ何にもありませんけど…」 荷物を用意しながら辰巳さんは私に問い掛けてくる。 見られたと思うとキョロキョロとしていたのが恥ずかしくなる。