「良かった。今日は断られなくて。」 チクリッ ちょっと刺のある言い方をされた…? いやいや、辰巳さんだよ? 紳士的な辰巳さんがそんなこと言うとは思えない。 気のせい、気のせい。 「あはは…すみません」 無理矢理笑ってみたから、顔が引きつっているだろう。口角がぴくぴくしている。 そんな私に気付いているはずの辰巳さんは、いつもの微笑みを浮かべて言う。 「荷物を取りに行くので僕の研究室まで来てもらってもいいですか?」