そしてその声は段々大きくなって、私のいる目の前まで人がいるみたいだ。
うめき声、骨のあたる音、その全てが自分に向けられているような感覚に陥る。
私が、出る幕はない。
私はこの部屋でじっとしてなきゃいけない。
私が出ていったって邪魔になるだけ。
でも、いいの?
千哉や伊織さんは、彼らから話がないと動かないって言ってた。
そして幹部三人がいないなら戦闘力はうんと下がるとも言ってた。
おそるおそるドアを開けて下を覗くと、入り口からの手勢に圧倒的に押されている。
向こうのボス的な人は入り口にもたれ掛かって高みの見物状態だ。
真っ黒な色の長髪で。
空いたピアスが生々しく耳にぶら下がっている
その時、そのボスが大声で叫んだ。
「お前らさァー! 本当にAEGISなわけ?
弱すぎ!!!!!!」
「う、るせぇよ!!」
息絶え絶えになったAEGISの一人が彼に向かっていくけどあっという間に蹴散らされる。
「よぇーーなーーー、コイツ」
そう言ってソイツが蹴飛ばしたのは、床に転がった新。
「足一本いっとくかァ?」
その目は狂気に満ちていて、本当に折ってしまうだろう
みんなの足がすくんだのがわかった。
「女一人くらいだせば見逃してやるけど……、
お前、女いねぇの?」
新の前髪を掴んで無理矢理上を向かせるけど、新は首を横に振る。
「つーまんねぇ!!」
そう言ってボスが、新の足首に足をのせた。
それは、私が翔平さんにされたことがある、アレ。
足首を骨が砕かれるレベルに打ち付けられ、その痛みも勿論見た目でも痛々しくなる。
「おい、足砕くぞ?」
「……………やめて!!」
自然と、声が出ていた。



