「お、おじゃまします……」
倉庫についていつもの如く、のそのそと目立たないように入る。
けど、やっぱり目立つからジロジロと見られる。
……千哉と伊織さんは、まだいないみたいだ。
「今日はなんか、いつもよりさらにピリピリしてるね……?」
そうコソッと真白くんに言うと、そうだねって返された。
なんか、雰囲気がピリピリしてて、少し怖い。
みんな、機嫌が悪いみたいに感じる。
「……紬」
真白くんは、私の耳元に口を寄せてはなしかけた。
「僕、ちょっと大事な用事があって抜けるんだけど、部屋から出ちゃダメだよ。
本当に、空気が悪い。
こういうときは敵襲が来ることが多い。
……気を付けて」
……敵襲。
その言葉にピクンと肩がはねた。
「……わかった」
「紬、こわい?」
「あまり、こわくはない」
怖くはないけど、緊張する。
敵襲が、雷神じゃないか……とか。
暴走族という集団の本来の姿を目にするのが久しぶりになるからだと思う。



