こんな大豪邸、確かに泥棒は入りたいやろうけど、セキュリティえぐいっちゅう噂やで?
紬ちゃんは、少し怯えながら、一言一言をゆっくり紡ぐ。
「植木が……、倒れて……、誰か踏んだみたいで、」
あー、うん、そりゃ見りゃわかるわな?
「んなことはきいてねぇんだよ、
さっさと掃除しろ、このノロマ。」
「ごめ……、んなさい……」
だからって理由も聞かずに翔平怒るんもよくないで!?
「気分が台無し。
俺の部屋いくぞ、和成、修太」
「はいはい、」
「……、翔平、あまり怒らんといてや、」
俺だって翔平を怒らせたくない。
恐いんやもん、タイマンでも張ってみぃ、
一瞬で伸されるで?、
「うぅせぇよ修太」
俺の精一杯の、怒らんといて、は、
翔平にサラッと片付けられてしまった。
さっさと部屋へ向かう翔平のあとを、和成がついていく。
あかんあかん、ぼぅーっとしてたら置いてかれてまう。
俺も後ろを追いかけた、でも、少し気になったんや。
少し、気になって、気になって、
思わず、振り向いた。
「……っ!」
目があった。
紬ちゃんの真ん丸な目と、目があった。
やばい、睨んでると思われたんちゃう?って焦って、
ちゃうで、俺は少し気になって……
心配、しとって…………
そういう意味で見てたんやで。
そう、心の中で必死に言い訳をしとるが、聞こえるはずもない。
けど次の瞬間、
「……!!!」
紬ちゃんは、ふわっと微笑んで、
俺にペコリと会釈をした。



